Ledgerを復元したのに残高が0のときの原因と対処|Nano Sの現状も解説

先に結論
リカバリーフレーズで復元したのに残高が0と表示される場合、資産が消えたわけではないケースがほとんどです。よくある原因は、アカウントをまだ追加していない、ビットコインのアドレスタイプが違う、パスフレーズ(25番目の単語)を設定していた、の3つです。特にパスフレーズは公式も明言していて、24語だけで復元するとパスフレーズ配下のウォレットは表示されません。落ち着いて順番に確認してください。
ハードウェアウォレットを初期化して復元したときに残高が0になるのは、恐怖を伴う体験です。しかしブロックチェーン上の資産はアドレスに紐づいており、Ledger本体にもアプリにも保管されていません。正しいアドレスを表示させられていないだけというのが、大半のケースです。
まず前提:アプリ名が変わりました
2025年10月23日、Ledgerの公式アプリ「Ledger Live」は「Ledger Wallet™」へ名称変更されました。公式サイトにも「FORMERLY Ledger Live」と明記されており、アプリストア上の表記も反映済みです。デスクトップ版(Windows / macOS / Linux)とモバイル版(iOS / Android)の両方が引き続き提供されています。
ネット上の解説記事の多くは「Ledger Live」時代のまま止まっており、画面構成の説明が現行と食い違うことがあります。手順を調べる際は、記事の日付を確認してください。
残高が0に見える原因を順番に潰す
原因1:アカウントをまだ追加していない
Ledgerのアプリは、復元しただけでは資産を表示しません。通貨ごとに「アカウントを追加」する操作が必要です。ビットコインを持っているならビットコインのアカウントを、イーサリアムを持っているならイーサリアムのアカウントを、それぞれ追加して初めて残高が見えます。
アプリを開いて何も表示されていない状態は、正常な初期状態です。まずはここから確認してください。
原因2:ビットコインのアドレスタイプが違う
ビットコインには複数のアドレス形式があり、Ledgerはこれらをそれぞれ別のアカウントとして扱います。同じリカバリーフレーズでも、形式が違えばアドレスも残高も別物です。
| 形式 | 導出パス | アドレスの見た目 |
|---|---|---|
| Legacy | 44' | 1 から始まる |
| SegWit | 49' | 3 から始まる |
| Native SegWit | 84' | bc1q から始まる |
| Taproot | 86' | bc1p から始まる |
導出パスは m / purpose' / coin_type' / account' / change / address_index という構造で、上表の数字が purpose にあたります。たとえばTaprootの最初の受取アドレスは m/86'/0'/0'/0/0 です。
以前Legacyアドレスで受け取っていたのに、復元後にNative SegWitのアカウントだけを追加していれば、当然残高は0に見えます。心当たりのある形式をすべて追加して確認してください。
原因3:パスフレーズ(25番目の単語)を設定していた
ここが最も見落とされやすく、かつ公式にはっきり書かれている原因です。Ledger公式の説明を要約するとこうなります。
- パスフレーズは自分で決める追加の文字列で、最大100文字(大文字・数字・記号も使える)
- パスフレーズを設定すると、既存の資産が移動するのではなく、まったく別のアドレス群(隠しウォレット)が新規に開かれる
- したがって24語のみで復元した場合、パスフレーズ配下の残高は表示されない
- パスフレーズを忘れると、そのウォレットへのアクセスは恒久的に失われる。Ledgerは保管もバックアップもしていない
- 1文字でも違えば別のウォレットが開く(エラーにはならず、空のウォレットが表示される)
パスフレーズを設定した記憶があるなら、24語での復元後にパスフレーズを入力して開き直してください。入力は必ずLedger本体で行います。パソコンやスマホ側で入力する運用は、公式が推奨していません。
その他に確認すべきこと
上記3つで解決しない場合、アプリ側の同期エラーや、モバイル版とデスクトップ版で残高表示が食い違うケースも報告されています。Ledgerの日本語サポートには該当する記事が用意されているので、そちらを確認してください。
Ledger Nano S(初代)は今も使えるのか
結論としては、すぐに使えなくなるわけではないが、公式サポートは終了しているという状態です。
| EOL(サポート終了) | 2022年6月に End-of-Life として指定 |
|---|---|
| 公式ポリシー上の扱い | EOL後1〜2年目は機能追加と不具合修正、3年目はセキュリティ修正のみ。この規定に従えば2025年6月で更新提供期間は満了 |
| 販売 | 公式ストアのラインアップから外れており、販売終了 |
| メモリ | ファームウェア+アプリ合計で320KB(Nano Xは2048KB) |
2025年6月、LedgerのCTOはNano Sのソフトウェアサポート終了について、メモリ制約が理由だと説明しています。「LedgerOSとBitcoin、Ethereum、Exchangeのアプリだけで320KBをほぼ使い切る」という状況で、新しい機能に対応する余地がないということです。
ただし同時に、ビットコインやイーサリアムの送受信は当面動作し続けるとも説明されています。「ある日突然、端末が使えなくなる」わけではありません。正確には「更新が止まり、新しい機能や新しいチェーンに対応しなくなる」という状態です。
なお、保有しているトークンの側でチェーン移行が起きることもあります。その場合はウォレットの機種に関係なく、プロジェクト側の手続きが必要です(例:ZEN(Horizen)のBase移行、Polygon zkEVMの終了)。
アプリが入らないときの対処
Nano Sは容量が小さいため、上位20通貨のアプリなら同時に3〜7個程度しか入りません。必要に応じてアプリを入れ替えることになります。
ここで不安になる方が多いのですが、アプリを削除しても資産は失われません。Ledger公式も「ビットコインアプリをアンインストールしても、単に再インストールすればよい」と説明しています。資産はブロックチェーン上にあり、アクセス権はリカバリーフレーズが握っているためです。
買い替えを検討する場合
現行のラインアップは Stax / Flex / Nano Gen5(タッチスクリーン系)と Nano X / Nano S Plus(クラシック系)です。Nano S Plus はメモリが大幅に増えており、初代からの移行先としては素直な選択になります。
移行はリカバリーフレーズを新しい端末に入力するだけです。資産を送金し直す必要はありません。ただしこの作業はリカバリーフレーズを扱う場面なので、後述の詐欺に最大限の注意を払ってください。
絶対にやってはいけないこと
リカバリーフレーズは、Ledger本体以外のどこにも入力しない
Ledger公式は「24語をデバイス以外の場所に入力する正当な理由は存在しない」と明言しています。アプリ、Webサイト、サポートを名乗る相手、どれに対しても入力してはいけません。入力を求められた時点で詐欺です。
Ledgerユーザーは、過去の個人情報流出の影響でフィッシングの標的になりやすい状況にあります。
- 2020年の流出——ECサイトの顧客データベースから、メールアドレス約100万件、氏名・住所・電話番号を含む詳細レコード約27万2,000件が流出しました。ハードウェアウォレット本体や資産への影響はないと公式が説明していますが、名簿は出回っています
- 2026年1月の流出——決済パートナー経由で、氏名・住所・メール・電話番号・注文情報が流出しました。カード情報・パスワード・24語は含まれていないとされています
この結果、Ledgerユーザーの自宅住所が攻撃者に把握されている可能性があります。公式が注意喚起している現行の手口は次のとおりです。
- Ledgerを装うメール(ファームウェア更新や2FA有効化を促す)
- QRコード付きの物理的な郵便物——偽サイトへ誘導する。住所が流出しているため実際に届きます
- 電話での接触(アカウントが侵害されたと称する。復旧サービスのパートナー名を騙るケースも)
- 偽のLedgerアプリ・偽サイト(リカバリーフレーズの入力を要求)
- 詐欺トークンのエアドロップ
- Ledger社や社員を装うSNSアカウント
残高が0で焦っている状態は、こうした詐欺に最も引っかかりやすい心理状態です。検索して出てきた「サポート窓口」に連絡する前に、この記事の原因1〜3を確認してください。大半はそれで解決します。
まとめ
| 症状 | 確認すること |
|---|---|
| 復元後、何も表示されない | 通貨ごとのアカウント追加をしたか |
| ビットコインだけ0になる | Legacy / SegWit / Native SegWit / Taproot を全部追加したか |
| すべて正しいのに0のまま | パスフレーズを設定していなかったか |
| それでも解決しない | 公式サポートの同期エラー関連の記事を確認 |
| 誰かに相談したくなった | 24語だけは絶対に入力・共有しない |
出典:Ledger Academy(パスフレーズ)/Ledger Blog(アドレスと導出パス)/Ledger(Ledger Wallet™)/Ledger OS and Device Apps Policy/Ledger(Nano Sのメモリ)/Ledger(進行中のフィッシング)/Ledger CEOによる情報流出の説明/Ledger 日本語サポート ※2026年8月時点
※操作画面はアプリのバージョンにより異なります。手順は必ずLedger公式サポートの最新情報をご確認ください。

