DAI(ダイ)は今どうなっている?USDSへの移行とSky再編後の現在地【2026年版】

先に結論
DAIは廃止されていません。2024年9月にMakerDAOが「Sky」へ再編され、新しいステーブルコインUSDSが登場しましたが、DAIとUSDSは併存しています。両者は手数料なしで1:1・双方向に交換でき、DAIをそのまま持ち続けても強制的に移行させられることはありません。ただし利回りなどの新機能はUSDS側に集中しており、規模もUSDSがDAIを上回りました。両者の本質的な違いはDAIのコントラクトが変更不能(イミュータブル)であるのに対し、USDSはアップグレード可能な設計である点です。
「DAIはUSDSに置き換わったのか」「持っているDAIは大丈夫なのか」という疑問は、2024年以降に書かれた記事でも扱いが曖昧なままのものが多くあります。この記事では、2026年8月時点で確認できる事実に絞って整理します。
何が起きたのか:MakerDAOからSkyへ
2024年9月18日、DAIを発行してきたMakerDAOが「Sky」へブランドを刷新しました。同時に、ガバナンストークンのMKRがSKYへ、ステーブルコインの新バージョンとしてUSDS(Sky Dollar)が導入されています。
| 旧 | 新 | 扱い |
|---|---|---|
| MakerDAO | Sky | 組織・プロトコルの名称変更 |
| MKR | SKY | 1 MKR = 24,000 SKY で交換。移行は任意だが後述のペナルティあり |
| DAI | USDS | 置き換えではなく併存。1:1・手数料なしで双方向に交換可能 |
MKRを持っている人は注意(ここだけ期限の概念がある)
DAIには移行期限がありませんが、MKR→SKYの交換には実質的なペナルティが設定されています。「Delayed Upgrade Penalty(遅延アップグレードペナルティ)」と呼ばれる仕組みで、移行が遅れるほど受け取れるSKYの量が減ります。
- 2025年9月22日に1%で発動
- その後3か月ごとに1ポイントずつ加算
- 2026年6月4日に4%へ引き上げ
MKRを保有したまま放置している場合、時間の経過とともに交換で受け取れるSKYが目減りしていきます。DAIの話とは別問題なので、MKRも持っている方は分けて考えてください。
DAIとUSDSは何が違うのか
価格はどちらも1ドル前後で連動しており、日常的な使い勝手に大きな差はありません。違いが出るのは、設計思想と利回りの部分です。
| 項目 | DAI | USDS |
|---|---|---|
| コントラクトの性質 | イミュータブル(変更不能) | アップグレード可能(UUPS + ERC-1967プロキシ) |
| 新規発行 | 担保による発行は継続中 | 継続中 |
| 相互交換 | 専用コンバーターで1:1・手数料なし・双方向 | |
| 利回りの仕組み | 従来のDSR / sDAI | Sky Savings Rate(sUSDS) |
| 報酬プログラム | — | Sky Token Rewards(SKY付与) |
「アップグレード可能」が意味すること
USDSがアップグレード可能な設計であることは、Skyへの移行時にコミュニティで議論を呼びました。将来的に凍結機能が実装できるのではないか、という懸念です。
これに対しSkyの創設者Rune Christensen氏は、ローンチ時点で凍結機能は存在せず、あるのはアップグレード可能性のみであり、実装する場合はSkyが事業を行う法域の法令に準拠する形になる、現実資産(RWA)を担保に組み入れるうえで必要な設計である、と説明しています。
この点をどう評価するかは立場によって分かれます。規制への適合性を重視するならUSDSの設計は合理的ですし、検閲耐性を重視するなら変更不能なDAIのほうが思想的に一貫しているということになります。「どちらが優れているか」ではなく「何を重視するか」の問題です。
規模はどうなったか
ステーブルコイン全体ではUSDT(Tether)やUSDCが圧倒的な規模を持ちますが、暗号資産を担保に発行される分散型ステーブルコインとしてはDAIとUSDSが最大級です。以下は2026年8月時点の数値です。
| 銘柄 | 時価総額 | 備考 |
|---|---|---|
| DAI | 約46億ドル | 再編当時(2024年9月)は約53億ドル。緩やかに縮小 |
| USDS | 約98億ドル | 流通量 約98.5億USDS |
USDSがDAIの2倍以上の規模に成長した一方、DAIも46億ドル規模で流通を続けています。「誰も使っていない過去の遺物になった」わけではありません。
DAIを持ち続けて問題はないのか
結論から言えば、廃止や強制移行の予定は確認されていません。DAIのコントラクトは変更不能なので、仕組みとして「ある日突然DAIが無効になる」ということは起こりません。
ただし、以下は把握しておいたほうがよい点です。
- 新機能はUSDS側に集中している。Sky Savings Rate(2026年8月時点で年3.52%)やSky Token Rewardsといった仕組みは、USDSを保有・預け入れることが前提です。利回りを取りに行くならUSDSへの交換が必要になります
- 報酬プログラムには地域制限がある。Sky Token RewardsおよびSavings Rateは、米国・英国・VPN利用者には提供されないとされています。日本からの利用可否については公式に明示された記載を確認できませんでした
- プロトコル共通のリスクは変わらない。担保資産の価格変動、スマートコントラクトの脆弱性、ペグの乖離、RWA担保のカウンターパーティリスクは、DAI・USDSのどちらにも存在します
交換に関する詐欺に注意
「DAIの移行手続き」を装ったフィッシングが存在します。DAIには移行の義務も期限もありません。「期限までに交換しないと無効になる」という案内は詐欺と考えて差し支えありません。交換を行う場合は必ず公式サイトから辿り、シードフレーズの入力を求められた時点で操作を中止してください。
日本の取引所での取扱い
DAIは国内の複数の取引所で取り扱われています。
| 取引所 | 取扱い |
|---|---|
| GMOコイン | 2022年にMKRとあわせて取扱い開始 |
| bitFlyer | 2024年2月19日に販売所で取扱い開始 |
| bitbank | DAI/円の取引ペアあり |
| SBI VCトレード | 現物・レバレッジ・積立・レンディング・ステーキングに対応 |
一方、USDSを取り扱う国内取引所は確認できませんでした。日本国内でUSDSを直接購入する手段は、2026年8月時点では見当たりません。USDSを保有するには、DAIやその他の資産を海外の取引所やDEXで交換する形になります。
結局どうすればいいのか
| あなたの状況 | 推奨される考え方 |
|---|---|
| 国内取引所でDAIを保有している | そのままで問題ありません。国内でUSDSは扱われておらず、交換する実務的な理由も乏しい状況です |
| DeFiで利回りを取りに行きたい | USDSへの交換を検討する余地があります。ただし地域制限とスマートコントラクトのリスクを確認してから |
| 検閲耐性を重視している | DAIを持ち続ける選択に合理性があります。コントラクトが変更不能である点が根拠です |
| MKRを保有したままにしている | 早めにSKYへ交換を。放置するほどペナルティで受取量が減ります |
まとめ
- DAIは廃止されていない。USDSと併存し、1:1・手数料なしで双方向に交換できる
- 移行の期限も義務もない。「期限切れ」を煽る案内は詐欺
- 本質的な違いは、DAIが変更不能でUSDSがアップグレード可能である点
- 規模はUSDSが約98億ドル、DAIが約46億ドル
- 国内取引所ではDAIは複数社が扱うが、USDSの取扱いは確認できない
- MKRだけは別。遅延ペナルティがあるため放置は不利
出典:Sky Protocol Docs(USDS)/sky.money(sUSDS)/The Block(MakerDAOのSkyへの再編)/MetaMask(DAI vs USDS)/CoinJournal(凍結機能をめぐる議論)/CoinGecko(USDS)/bitbank(DAI/円)/SBI VCトレード(DAI) ※数値は2026年8月時点
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

