Polygon(POL)とは?旧MATICから何が変わったのか、2026年の現在地

先に結論
PolygonのネイティブトークンはMATICからPOLへ移行済みです。Polygon PoSチェーン上で保有していたMATICは自動的にPOLへ変換され、国内外の主要取引所も表記をPOLへ切り替えています。手続きが必要なのはイーサリアム上のERC-20版MATICを、ウォレットに直接保有したままの人だけです。また2026年7月1日にPolygon zkEVMが終了し、開発はPolygon PoSとAggLayerに集約されました。2024年以前に書かれた「MATIC」前提の解説記事は、前提が変わっているので注意してください。
「Polygon(MATIC)」で検索すると、いまだにMATICを現行トークンとして扱う記事が多く出てきます。しかし実際にはトークンは移行済みで、チェーンの構成も変わりました。この記事では、いま何がどうなっているのかを事実ベースで整理します。
MATICからPOLへ:何が起きたのか
イーサリアムのスケーリングを担ってきたPolygonは、「Polygon 2.0」という構想のもと、ネットワーク全体を複数チェーンの集合体として再設計する方針を打ち出しました。その第一段階として実施されたのが、ネイティブトークンをMATICからPOLへ切り替える移行です。
POLは単なる名称変更ではなく、役割が拡張されています。Polygon PoSのガス代とステーキングに使われる点は従来通りですが、加えて複数チェーンを1人のバリデータが同時に検証できる設計(マルチチェーン・バリデーション)と、エコシステムの成長に充てるコミュニティトレジャリーの原資という位置づけが与えられました。
保有していた人はどうなったのか
| 保有場所 | 対応 |
|---|---|
| Polygon PoSチェーン上のMATIC | 自動的にPOLへ変換。ユーザー側の操作は不要 |
| 国内・海外の取引所に預けていたMATIC | 取引所側で対応済み。銘柄表記がPOLに切り替わっている。ユーザー側の操作は原則不要 |
| イーサリアム上のERC-20版MATICをウォレットに保有 | 手動での移行が必要。公式の移行インターフェースから交換する |
| 他チェーン上のブリッジ版MATIC | ケースによる。ブリッジ元・保有先の案内を確認 |
移行には約4年の期間が設けられているため、いますぐ資産が消えるわけではありません。ただし、時間が経つほど対応するサービスやツールが減っていくのが通例なので、ERC-20版MATICを手元に持っている場合は早めに交換しておくことをおすすめします。
移行手続きを装った詐欺に注意
トークン移行は、フィッシングが最も集中する場面のひとつです。「MATIC 移行」で検索して出てくる広告や、SNSで送られてくるリンクからは絶対に入らないでください。移行用のインターフェースはPolygon公式サイト・公式X・公式ドキュメントから辿るのが鉄則です。そして、正規の移行手続きでシードフレーズの入力を求められることはありません。
2026年の現在地:zkEVMの終了とAggLayerへの集約
ここが、多くの既存記事に反映されていない重要な変化です。
Polygonは長らく「PoSチェーン」と「zkEVM」という2つの主要な選択肢を持っていましたが、2026年7月1日にPolygon zkEVM Mainnet Betaのシーケンサーを停止し、zkEVMを終了しました(資産が取り残された場合の対処はPolygon zkEVMが終了、資産が引き出せない場合の対処法にまとめています)。開発リソースは、Polygon PoSチェーンと、複数のチェーンをつなぐ統合レイヤーであるAggLayerに集中されます。ゼロ知識証明の技術開発自体は「Polygon ZisK」として分離される形になりました。
この判断の意味は、投資目線で見ると大きく2つあります。
1. 「ZKで勝つ」路線からの転換
2023〜2024年頃のPolygonは、ZKロールアップ競争の主要プレイヤーとして語られていました。zkEVMの終了は、その主戦場から降りたことを意味します。L2の競争が激化するなかで、ZK単体で戦うより、PoSチェーンの実需とAggLayerによるチェーン間接続に集中するという選択です。この評価は分かれるところで、「選択と集中」と見るか「ZK競争での敗北」と見るかで、POLの見方は変わります。
2. ステーブルコイン決済とRWAへの寄せ
Polygonが今後の重点領域として挙げているのは、Polygon PoS上でのステーブルコイン決済と現実資産(RWA)のトークン化です。手数料が安く、すでに企業やアプリの採用実績があるという既存の強みを、投機的な用途ではなく決済・実需の方向に振っている形です。
したがってPOLを評価する際に見るべき指標も変わります。「ZK技術の進捗」ではなく、Polygon PoS上のステーブルコインの流通量・決済件数、AggLayerに接続するチェーン数、企業導入の継続性——このあたりが、実需がトークン需要に結びつくかを判断する材料になります。
POLは日本の取引所で買えるのか
国内では、bitbank が POL/JPY の取引ペアを提供しています。そのほかの国内取引所についても、MATIC時代から取り扱っていたところは順次POLへ表記を切り替えています。
ガス代としてのPOLは少額を常備しておく
Polygon PoSを実際に使う場合、送金やスワップのたびにガス代としてPOLが必要になります。額は小さいものの、POLを一切持たない状態ではウォレット内の他のトークンを動かすことすらできません。UniswapのようなDEXやNFTでPolygonを使う予定があるなら、ガス代用に少額を先に用意しておくのが実務上のポイントです。
リスクとして押さえておくこと
- L2競争は決着していない。Arbitrum、Optimism、Base、その他のZK系L2との競争は続いており、開発者とユーザーがどこに残るかは流動的です
- 手数料が安いことは、トークン需要には直結しにくい。ネットワークが混雑しない限り手数料収入は大きくならないため、利用が増えてもトークン価値に反映されにくい構造があります。ここはPolygonに限らず、安さを売りにするチェーン全般の課題です
- 方針転換のたびに評価軸が変わる。zkEVMの終了がそうであったように、プロダクト構成の変更は短期的な価格変動を招きます。ロードマップの変更は必ず追ってください
- 古い情報が大量に残っている。MATIC前提の記事、zkEVM前提の解説、終了したプロダクトのドキュメント。Polygonについて調べるときは、記事の日付を必ず確認してください
まとめ
| 論点 | 2026年7月時点の状況 |
|---|---|
| トークン | MATIC → POLへ移行済み |
| 必要な手続き | PoS上・取引所預け入れ分は不要。イーサリアム上のERC-20版MATICのみ手動移行 |
| zkEVM | 2026年7月1日に終了。ZK開発はPolygon ZisKへ分離 |
| 開発の重点 | Polygon PoS + AggLayer。ステーブルコイン決済とRWA |
| 見るべき指標 | ZKの進捗ではなく、PoS上の決済実需とAggLayer接続チェーン数 |
| 国内取扱い | bitbankでPOL/JPYの取扱いあり(他社は各公式ページで要確認) |
Polygonは「イーサリアムを安く速く使えるようにする」という位置づけから、「決済とチェーン間接続のインフラ」へと軸足を移しました。この転換がうまくいくかどうかが、POLの評価を決めます。少なくとも、2024年当時の枠組みで語ることはもうできません。
出典
・Polygon Community Forum「Polygon zkEVM Mainnet Beta Sunset: Claim Your Funds」公式アナウンス
・あたらしい経済「ポリゴンのトークン『MATIC』から『POL』への移行、何が変わる?」記事
・あたらしい経済「ポリゴンzkEVMメインネットβ終了へ」記事
・bitbank「ポリゴンエコシステムトークン(POL)/円 チャート」取扱いページ
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、投資判断はご自身の責任で行ってください。

